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12.252018
【茅葺き特集】玉若酢命神社 2017年本殿屋根の葺き替え<第2弾>檜皮葺の葺き替え
弊社の職人と兵庫県丹波市の村上社寺工芸社さんから来られた職人さんがともにおこなった施工をレポートさせていただきます。
檜皮葺きの屋根は耐水性に優れ、耐用年数が30~40年と言われています。
事前調査で確認した、痛みの激しい部分のみ葺きなおしをおこないます。
檜皮葺きが施されているのは、向拝(ごはい、こうはい)の部分。
本殿の正面に礼拝のために設けられた、ふきおろし屋根の張り出したひさし部分のことを指します。
こちらは健全な部分と傷んだ部分の様子。雨がかりの少ない部分はまだ使えるので、残しておきます。
雨水にさらされている部分は劣化が激しく、苔が生えています。
まずは傷んでいる部分をはがしていく、撤去作業です。
こちらは向拝の蛇腹と裏板。水が浸透して傷んでいる部分のみ取り換えとなります。
このように、使える部分はそのまま残し、傷んだ部分だけ新しくしていきます。
その上に、裏板を載せていきます。
こちらが檜皮。関西地方から取り寄せたものです。
今回の施工に合わせて、ある程度サイズを裁断して送られてきます。
裏板の上に、まずは軒先部分から檜皮を敷いていく工程に入ります。
軒先部分は水が滴るので、厚みをもたせて敷く、これを軒積みといいます。
このギザギザした部分(下写真・右下部分)を
アタリを決めて、手斧で切り落として断面を綺麗に揃えていきます。
切り揃えられたあとの様子がこちらです。
これまでの手順で、下から蛇腹→裏板→軒積みまでが施工されました。
この厚く軒積みした上に下地をはって、更に平積みをしていきます。
軒先き部分は下地の上に水切り銅板を仕込んで、この劣化をなるべく防ぐ構造になっています。
こちらが下地の先に貼られた新しい水切り銅板。錆びないように同素材の銅釘で打ち付けていきます。
ちなみに、こちらが施工前の劣化した水切り銅板。雨に晒されて劣化しています。
今回は、軒先だけではなく、苔が生えて損傷が激しかった側面部分にも銅板を仕込むという新しい試みを加えています。
このように、昔ながらの手法のみでなく、少しづつ新しい手立てを取り入れて効果を試しているのです。
続いて、平積みの様子です。
下地の上に、薄く檜皮葺を葺いていきます。
そのまま残す健全な部分を持ち上げて、下から新しく葺いたものを入れ込んでいきます。
母屋から雨水が落下する部分の損傷が激しかったので、この部分の檜皮の下に、丈夫なシュロの皮を仕込んでいます。
こちらも耐久性の向上を目指した試みとして、新しく取り入れたものです。
軒先から棟にむけて平積みし、健全な部分と組み合わせたら、完成です
【檜皮葺に使用する道具をご紹介】
檜皮包丁。檜皮のちょとした加工を現場でおこなうための包丁です。
ちょうな。檜皮用なので持ち手が短くなっています。
やねかな。檜皮を打ち付けるための金づちの役割をします。
先端と、持ち手の近くにも金物のプレートがついていて、木の本体部分は職人が自ら自分の手に合うものを作っています。
【檜皮職人の姿を動画でご紹介!】
竹でできた釘を口に含み、テンポよく檜皮を打ち付けていく職人技をご覧くださいませ。