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2.92022
【ユネスコ無形文化遺産特集】002 茅採取
茅採取(かやさいしゅ)とは
茅採取は、屋根葺の一種である「茅葺屋根」に用いるためのススキやヨシ等を育成し、採取する技術です。
これは、元々はそれぞれの地域住民によって行われていた農作業の一つだったものの、需要の減少や農業形態の変化により現在その必要性は薄れ、技術の伝承も危ぶまれています。
地域性が現れる「屋根の素材」
実は、「茅」という植物は存在しません。茅葺とは、植物の束で葺いた屋根の総称です。
全国的にみると、ススキで葺く地域がほとんどですが、その種類や呼び方も地域によってさまざまです。
ススキ以外にも、稲(わら)、笹の葉、海外では海藻で屋根を葺くところも。
基本的に、屋根というのは古代から「その近くにあるもので葺く」というのが大前提。現在は流通網が整っているので丈夫な瓦などの屋根材を仕入れることができますが、昔はそれが出来ませんでした。その為、「近くにあるもので」といった事から屋根の素材には地域性が表れるのです。
持続可能な茅の循環的利用
茅は屋根素材の他に、家畜の飼料や生活用具として利用され、昔の人々の暮らしを支えてきました。また、いちど使われた茅は、田畑の肥料として再利用されており、持続的な農業の基盤でもありました。
建築資材としては弱い茅ですが、定期的に葺き替えることで、むしろ長年生き続ける建築をつくる技は、日本文化の世界に誇るべき特質です。
「茅採取」は、茅の育成、採取、乾燥、保存、選別、そして茅場の維持管理の全てに渡り、農家の生業と暮らしの中で受け継がれてきた知恵と技なのです。
(※参考:一般社団法人日本茅葺き文化協会 代表理事 安藤邦廣 コメント)
隠岐の島で、茅場づくりの挑戦
隠岐の島には5つの茅葺の建造物があります。
弊社は従来の「その土地の素材で造られた茅葺屋根」のスタイルを取り戻し継続すべく、2015 年にヒアリング調査を開始しました。現在は、昔に茅場として利用されていた 7 か所の土地を再生・育成し、島内の茅場作りに取り組んでおります。
永年人々の暮らしの中で受け継がれてきたこの知恵と技を、より幅広い世代に認知してもらえるよう、小学生を対象に体験学習の招致活動もおこなっております。